SSブログ
感染症 ブログトップ

エボラ出血熱 現在 539人死亡 [感染症]

<エボラ出血熱がじわじわ拡大>

前の記事でも取り上げたが、エボラ出血熱患者が日本に来る確率はだんだん上がってきているように思う。

現在、西アフリカで感染が拡大しているのはギニア、リベリア、シエラレオネの三か国だ。

これらの国で感染が拡大して止まらないことには、どうやら根本的な問題として、医学に対する無理解があるようなのだ。


なんと、エボラ出血熱で亡くなった人であれ何であれ、亡くなった人に抱擁して別れを惜しむという風習があると。




<エボラウイルスは体液を介して感染する>

エボラウイルスは、いったん感染すると患者の体内で爆発的に増殖する。

しかし、感染する力自体はそれほど強くはない。

基本的には、血液、喀痰、唾液、精液、血便などの、患者の体液を含む液体や排せつ物に触れることでしか感染しない。

肺炎を起こした患者が咳込んでも、直接顔に感じるほどの飛沫を浴びて、しかもその時にこちらが口や目を開けていた時でないと感染しない。


でも、これらの三か国で行うように、死者に抱擁するのは危険すぎる。

エボラ出血熱では、その名の通りに全身の穴から血液が垂れ流されるなど、細胞が破壊されて出血しまくる姿の患者が少なからずいる。

そういう人に抱擁したり、口づけしたりしたら非常に高い確率で感染する。


<呪術が今でも重要な国>

これらの国のすぐ隣の国にコートジボワールというのがある。

そう、ワールドカップ初戦で日本が負けたコートジボワールである。

あの国の特集を試合前に放送していたが、あの国では今でも呪術師たちが力を持っていて、今回のワールドカップの時にも相手チームの選手が能力を発揮できないように呪いを送ったそうである。


ドログバが出てきてから急におとなしくなった日本。

ひょっとしてドログバも呪術師だったのかなんて思ったりするけど(笑)、そうなるようにコートジボワールの呪術師たちはけっこう頑張っていたようだ。


その呪術師たち、病気の治療もする。

ましてや病院で手におえないエボラウイルス感染症に貧乏人がなってしまったら、彼らに頼るしかない。

(実際は呪術の力に応じてお高くなるらしいが。)


そのときにけっこう使われるのが、呪術師が口に含んで噛んだありがたい草の汁を患者に吹きかけるというもの。

もしも呪術巣がウイルス保因者になったりしたら、と思うと恐ろしい。。。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

エボラ出血熱 日本に来る日 [感染症]

<これまでの感染規模とは違う気がする>

西アフリカでのエボラ出血熱の感染拡大がだんだんペースを上げてきた。

これ、過去に何度も繰り返されたこの病気の拡大とはどうも様相が異なるように思うのだ。

何が問題なのか?




<人から人への感染力が上がっていないか?>

初めてエボラ出血熱が発見されてから、アフリカでは何度か小さなエリアでの感染爆発があった。

その地域の数十人が感染して亡くなったりひどい目にあったりして、でも、自然に収まっていた。

最初のころの感染事件では、感染患者がアフリカの中で飛行機で移動中に発症したケースもあったが、このときには乗客やキャビンアテンダントには大きな感染爆発は起きていない。


エボラ出血熱を発症すると高熱が出て、咳こんだり、下痢したり、ときに体中の様々な粘膜が破たんしてそこから出血したりということが起こる。

その時に、体液や血液に直接触れてしまったり、その体液系の飛沫(唾液以外の)をたくさん吸い込んでしまったりすると感染が起こる。

だけど、直接患者に触らなかったり、同じ室内にいてもすぐそばに長時間いなければ感染は拡大しにくいのがエボラ出血熱の特徴だった。


でも、ここのところの拡大のペースがこれまでよりも早いし、長引いている。

これはつまり、過去と同じように対策をしていたのでは感染拡大が防げなくなりつつあることを意味しているように思える。

おそらく、だが、飛沫を吸い込んで感染する力が上がっているのではないだろうか?


少ない量での飛まつ感染が起こりやすくなってきているのでは。

一番怖いのは、ひょっとしたら患者が咳込んだときに感染力のある粒子が空気中に放出されるという変化が起きてしまっていないかということだが・・・。


<日本にエボラが来る可能性>

日本にエボラ出血熱が感染拡大する可能性は、ある。

これ、どういうチャンスで起こるかというと、アフリカから直接伝わるのではなくて、ヨーロッパ経由で起こる可能性があるのではないか、どうもそう思えるのだ。

日本に比べるとアフリカに近く、アフリカに仕事や観光で行くチャンスは特にヨーロッパ南部の人たちでは多い。

地中海を渡ればすぐにアフリカなんだから。


考えてみよう。

ここのところの感染拡大の状況から、エボラ出血熱の感染力が上がったとする。

だからといって、潜伏期はそれほど変わらないだろう(これは特にエビデンスはない推測)。


そして、エボラのこれまでの致死率はアフリカでは高いが、ヨーロッパ人の間では低めである。

何を意味するかといえば、医療が発達した環境にあって、早め早めに手厚いケアを受けることで致死を免れている可能性があることが一つ。

もう一つは、発症初期に解熱剤を飲んで体を休めるなどていれば重症化しにくかったりするのではないかと思われることだ。

こっちは怖い。


感染地に行った人が潜伏期間中に帰国の途につき、体調がいまいちなのを押したままで活発に活動してしまう可能性は高くなる。

軽く発症した段階のヨーロッパ人が多くの国を転々としながらビジネスに携わるとき。

そのときに、ヨーロッパに出かけた日本人がそこで危険性を認識しないままに感染してしまう可能性がある。


日本にエボラが入ってくるとすれば、それが一番ありうるシナリオだと思う。

そしてその前提条件となるのが、エボラウイルスの人から人への感染力が上がるということである。

でも、どうも、それが起こり始めている気がするのだ。

nice!(4)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

エボラウイルスの感染が60箇所に拡大 [感染症]

<アウトブレイクは絵空事ではない>

アウトブレイクという映画を覚えておいでだろうか?

アフリカのとある村で発生した強力な感染症が、思惑の果てにどんどん拡大していってしまうという話です。



その原案となったのがこのウイルス感染症

エボラ出血熱だ。

1970年代に最初の患者が報告されてから、なんども反復感染を繰り返している。

でも、大きな感染カウ大には今のところはつながっていない。

今のところは。


<人から人への容易な感染が起こるとやばい>

映画のアウトブレイクはこういう話だ。


アウトブレイク 【WARNER THE BEST ¥1500】 【DVD】

モターバ川流域の小さな村で未知のウイルスによる出血熱が発生する。アメリカ陸軍伝染病医学研究所のダニエルズ大佐を始めとした調査隊が現地に向かうも時既に遅く、村の医師と村から離れて暮らしていた祈祷師を除いて村は全滅状態となっていた。ダニエルズはウイルスの致死率の高さと感染者を死にいたらしめるスピードの早さに危機感を抱き、軍上層部とCDCに勤務する元妻のロビーに警戒通達の発令を要請するが、双方から却下されてしまう。
(Wikipediaから引用)

まあ、詳細は映画を見てもらったほうがいいだろう。


エボラ出血熱の致死率は40%~90%とされる。

その時の医療水準や、対応が迅速かどうかで結果が変わる。

いずれにしても、発症したらほぼ半数が死んでしまうという恐ろしい感染症。

H5N1の鳥インフルエンザの致死率よりも高い。


ただ、鳥インフルエンザにしても、エボラ出血熱にしても、今のところは人から人への感染力が高くないのであまり心配する必要はない。


<2009年のH1N1のパンデミックを忘れてはならない>

2009年、メキシコの養豚場周辺で発生した新型インフルエンザウイルス。

H1N1という遺伝子型の特徴は、1918年に世界中で流行して数千万人の命を奪ったスペイン風邪のそれと基本的には同じものだった。

ただ、それが新たな変異を持ったことと、最近の人はその昔の方に近いウイルスに長らく感染していなかったことから瞬く間に世界中に広がった。


あのウイルスは人の呼吸器系の上皮細胞に用意に感染する性質を備えていた。

だからすごいスピードで広がった。

幸いなことに病原性はあまり強いものでなかったことから、世界的な死者数は数万人ですんだ。



<エボラ出血熱と普通のインフルエンザウイルスが合体したら?>

怖いのは、病原性の高いウイルスと、感染力の高いウイルスが混ざってしまうことだ。

特にインフルエンザウイルスの場合はそれが容易に起こり得る。


人に感染している香港型H3N2に感染している人が、たまたま鳥からH5N1ウイルスに同時感染してしまったとしよう。

二つのウイルスは同じ細胞に感染する。

同じ細胞に感染したウイルスは、同じ細胞の遺伝子増幅システムを使って自分の遺伝子を再生する。


この時に、二つは簡単に混ざってしまう。

H3N2の感染力を持ち、H5N1の病原性を持つ新型インフルエンザウイルスがいとも簡単に出来上がってしまうというわけだ。



あれ?

結局、映画のネタバレなんだけど。

アウトブレイクという映画では、エボラ出血熱がインフルエンザウイルスと遺伝子組み換えされた生物兵器であった、というふうな話だった、かな。


ま、ともかく、エボラ出血熱、

感染流行地域には絶対に近づかないほうがいいよ。


MERS(中東呼吸器症候群)って知ってますか? [感染症]


日本ではまだそれほどの話題になっていないけれども、中東で新たな呼吸器感染症が話題になっているのをご存じだろうか?

マーズ(MERS)、中東呼吸器症候群と呼ばれるこの病気は、SARSと同じく、コロナウイルスの変異により発生した呼吸器感染症である。

それがどんな病気か、まずは説明してみる。


<致死率は30%の新型感染症>

このウイルスが最初に確認されたのは2012年9月のこと。

いったいどこから現れたのかわからなかったが、いまではどうやら、ラクダの感染症として進化してきたらしいことがわかっている。

ラクダにとってはよくあるウイルス感染症で風邪のようなのだが、人間に感染すると驚異的な悪性度を発揮する。

これまでに中東や米欧、フィリピンなど20カ国で683人の感染が確認され、204人が死亡しているというのだ。

致死率は30%近いという恐ろしさ、SARSの再来を思わせる。


<人から人への感染も徐々に広がっている>

これまでのところ、基本的にはラクダの多い中東での感染が主で、ヨーロッパや東南アジアでの発症も、中東で感染した人が帰国してから発症したパターンだ。

基本的にはラクダから感染しているのだろう。

だからWHOもそれほど大騒ぎはしていない。

640px-07._Camel_Profile,_near_Silverton,_NSW,_07.07.2007.jpg

しかし、人から人への感染は徐々に広がっている。

主に家族の間で、あるいは患者から病院関係者へといった形で広がっている。


比較的初期の例でいうと、中東から帰国したヨーロッパの人が発症し、その息子二人が感染したというケースがある。

本人は大丈夫だったが、息子二人のうちの一人が亡くなっている。

亡くなった息子は持病があり、免疫状態が良くなかったということで、不幸が重なった形になっている。

しかし、実はもう一人の家族も高熱こそ出していないが風邪症状を発症しており、感染力は決して低いとは言えない。


<MERSは日本にも来る>

SARSがインドやベトナムで出現し、香港で世界各国の人に感染して広がり始めたあの時。

その高い致死率と強い感染力で、日本はパニックになった。

SARSに感染した恐れのある台湾の教師が生徒の修学旅行に同伴で日本に来ていたことが分かったときの厚生労働省のパニックの様、まだ覚えている。


今回はまだ、大きな騒ぎにならない。

NHKは淡々と報道を続けているが、民法が大騒ぎしないからかな。(笑)


でも、こういう感染症って、くるんだよね。

上に上げた家族の例、ここに恐ろしさがある。

感染したけど症状が軽い人がいるんだ。

こういう人は、自分では何もわからないままにキャリアとなって感染症を広げる。


こういう人が海外で感染して、日本に帰ってきたときに、都会で働くと・・・



<どうすればいいのか?>

結局、一人一人の自覚が重要。

最近はドバイなど、観光に力を入れる国が増えている中東、都会に行く分にはそれほど心配ないのだけれども、日本人はけっこう、砂漠が好き。(笑)

ラクダで砂漠ツアーとかあると喜んで参加するよね。


ここで、今一度、よく考えてほしい。

体力に自信がない人、あるいは、国に帰ったら高齢者や乳幼児と同居している人。

もう一度よく考えてから、参加するかどうかを考えてみてね。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問

致死的なレジオネラ感染症が温泉旅館で発生 [感染症]


レジオネラの肺感染症により、温泉旅館に泊まっている客の3人が肺炎を起こし、そのうちの一人は死亡してしまった。

楽しいはずの温泉施設でどうしてそんな感染症にかかってしまうのだろうか?

どうしたらそれを防げるのだろうか?

240px-Legionella_Plate_01.png

<レジオネラはどこにいるのか?>


レジオネラによる感染症、しばしば温泉で問題になる。

この妙な名前の細菌、どこにいるかというと、水の中に好んで住み着く。

それもほどほどに温かい水の中だから、当然ながら温泉にもよくいるし、一時期、これが大いに問題になったのは家庭のお風呂だ。

毎日水を入れ替えているところは大丈夫なんだけど。


<問題となったのは24時間風呂>

ふた昔ほど前、24時間ぶろというのが一世を風靡したのを覚えているだろうか?

フィルターを備えた湯沸し装置を取り付けることで、一度ためたお湯を何日間も再度沸かして利用できるということで人気が出た、節水できるし、経済的だと言って。

しかし、あのお風呂ではレジオネラのような細菌を取り除くことはできなかったために、レジオネラ感染症で苦しむ人が多数出現し、あっという間にすたれてしまった。


同様の理由で、源泉の温度が低く、しかもお湯を頻繁に総入れ替えしていないような温泉施設ではレジオネラが容易に繁殖してしまう。


==引用==

温泉施設利用客からレジオネラ菌検出 男性1人死亡 埼玉・北本市

フジテレビ系(FNN) 6月14日(土)17時41分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20140614-00000584-fnn-soci

埼玉・北本市の温泉施設で、利用客からレジオネラ菌が検出され、男性客1人が死亡した。
埼玉県によると、5月18日から21日にかけ、北本市の温泉施設「湯楽の里(ゆらのさと)北本店」を利用した男性客3人が、発熱や呼吸困難などの症状を訴えたという。
このうち、66歳の男性客が死亡し、残る2人は、回復に向かっているという。
死亡した男性からレジオネラ菌が検出され、保健所が、施設の浴槽の水を調べたところ、基準を上回るレジオネラ菌が検出された。
埼玉県は、温泉施設が感染源だと特定し、14日、施設に営業停止命令を行った。
運営会社は、「このような事態となったことを重く受け止め、原因究明と再発防止に努めてまいります」とコメントしている。

==引用==

<町中の温泉施設は衛生管理が重要>

さて、この温泉施設の「湯楽の里(ゆらのさと)北本店」というところがお湯の管理をどのようにしていたかはわからない。

湯量が豊富な有名な温泉地でかけ流しのお風呂などはほぼ心配ないのだが、町中にあって、源泉の温度が低く、さらに、営業時間がとても長い(24時間営業とか)の温泉施設ではレジオネラの繁殖がしばしば発生する。

お湯の全入れ替えとか、浴槽や、ためておいた源泉の総入れ替えみたいな衛生管理がどうしても難しくなるからだ。

コストもかかるので、いささか入浴料の高い大きな施設はいいが、安さ優先の施設ではどうしても価格とのバランスが難しくなる。

このため、保健所の指導が厳しく入り、レジオネラチェックも頻繁になされているはずなのだが、どうしても、こういう事件が散発するね。


<昔からある有名な温泉はほぼ問題なし>

源泉が60℃以上で加熱の必要がないような温泉施設で、毎日掃除の時間を設けてその時間は入浴できないようにしている温泉施設であれば心配ない。

また、湯量の豊富なかけ流しもおおむね心配ないのは考えてみればわかるよね。

だから、江戸時代とかから存在する有名な温泉地の温泉施設であればほぼ心配ない。

しかし都会の便利なところにある温泉施設とか、そういうところに行く場合にはちょっとだけ気を配っていくようにしよう。


<お年寄りがかかりやすい病気でもある>

レジオネラが最初に報告されたのは、アメリカで退役軍人たちが同窓会を開いていた施設での発症だ。

この場合、温泉ではなくてエアコンに使われていた水の中で繁殖したレジオネラが、ミストに混ざってパーティー会場にエアコンで給気された。

それを吸い込んだ元軍人のおじいちゃんたちの間で一斉に感染症が広がったのである。


どうやらこのレジオネラ、感染して肺炎を引き起こすのはお年寄りが多い。

その原因の一つはこのレジオネラという細菌が細胞内感染症であるということにあるとも考えられている。

細胞内感染した細菌を、というか細菌が中に巣くっている細胞を攻撃するためには、リンパ球の機能が重要である。

しかし、高齢者では、若い人と異なり、リンパ球が含まれる獲得免疫系ではなくて、好中球やマクロファージといった自然免疫系が主流になる。


まあ、ややこしいことはこの辺で。

ともかく、年配の先輩方、温泉に入りに行くならできるだけ源泉の温度の高い有名どころにゆったりと入るようにしていただけたらと願う。

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:学問
感染症 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。