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造影剤投与によるアナフィラキシーショック死亡事故は防げるのか? [アレルギー]

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エックス線撮影時の造影剤の静脈内投与によるショックはどのぐらいの割り合いで起こっているのかというと、0.04~0.004パーセントの確率で起こるらしい。

2千5百人に一人から2万5千人に一人の確率でこれが起こる

報道では、しばしばアナフィラキシーショックであるとして報道されるけれども、これは正確な意味ではアナフィラキシーショックではないケースが多い。


アナフィラキシーショックというのは、一度何らかの毒などが体内に入ったことに対して、免疫系が過剰に反応してしまうことで起こる。

たとえば、ミツバチに刺された人が、しばらくして再びミツバチに刺されたときに、その人の体の免疫系が過剰に反応してしまうためにショック症状を起こすほどの状況が発生してしまう、それがアナフィラキシーショックだ。

これはハチの毒に対してIgEという特殊な免疫グロブリンが産生されて体内にたくさん準備されていて、それを使った反応が激しく起こるために発生する。

治療の時に、IgEの機能を阻害する物質を使うこともある。


ところが、造影剤でショックを起こす人のほとんどは、初めての投与でこれが発生する

しかも、アナフィラキシーショックのときに激しく反応する免疫細胞が、同様に激しく反応しているのに、IgEの働きを阻害する薬を使ってもこれは防げない。

このことから、これは「類アナフィラキシーショック」とか「アナフィラキトイド反応」と呼ばれる。


これがなぜ、一万人に一人ぐらいの確率で起こるのか?

この発生確率の低さから考えて、さらに特殊な反応であることから考えて、先天的な体質の問題であると考えられている。

おそらく、IgEを介した免疫反応で激しく活性化する細胞が、その造影剤の成分によって激しく活性化されるような体質をこれらの人々は生まれつき備えているものと考えられる。

残念ながら、現時点ではこの原因はまだわかっていない

このため、このショック症状が出現したら直ちに救急対応をとるという形でしか、これへの対処方法はない。


==引用==

造影剤投与直後に呼吸困難、市民病院で女児死亡

読売新聞 6月10日(火)11時36分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140610-00050091-yom-soci

 愛知県常滑市の常滑市民病院で今月3日、入院していた同県内の女児(6)が、造影剤を投与された直後に容体が急変して死亡していたことが分かった。

 急性アレルギー反応の「アナフィラキシーショック」を起こしたとみられ、病院は県警常滑署に連絡。同署は業務上過失致死の疑いもあるとみて、投与に問題がなかったかを調べており、今後、担当した医師らから事情を聞く。

 関係者によると、女児は高熱が続き、5月下旬から入院していた。3日になって、エックス線検査をするため腕から造影剤を投与したところ、数分後に気分の悪さを訴え、呼吸困難に陥った。医師らが治療にあたったものの、間もなく死亡した。造影剤の投与には家族の同意があったという。

==引用==


わずか6歳で亡くなったこの子は本当にかわいそうだと思うし、ご両親を含めて遺族の悲しみたるや筆舌に尽くしがたいものだと思う。

ご冥福をお祈りします。


しかし、現時点ではこの「造影剤投与による類アナフィラキシーショック」の発生は防ぎようがない。

投与してみて、一万人に一人ぐらいの確率で発生してしまったときには、病院側で全力で救命にあたる

それでも、このショックの激烈さには個人差があるし、その状態を耐えるためには体力が必要なので、ショック症状が非常に重篤であったり、ショックを起こした患者が小児や老人などの体力の小さな人々の場合、救命できないことがある。


今回のケースもそういうケースだと思われる。

いつものことで、警察は「業務上過失致死」として検挙しようとして躍起になる。

マスコミは「病院のミスだ、対応が後手に回っている、事前に十分対応すべきだった。」などと書き立てる。

予測不能、対応しようがないことを対応しろと言われても、現時点では医療側には不可能な話。なぜこのような反応が起きるのか、原因がつかめていないのだから。



唯一、万に一つの危険に対応する方法があるとすれば、造影剤を使った検査を一切しないことだ。

患者の側が造影剤使用を拒否すればよい。


ただし、これによって病気が見逃されたり、診断できなかったことで適切な手術が受けられなくなるという不利益に関しては患者は受け入れる必要がある。

その確率は、アナフィラキシーショックに遭遇するよりもはるかに高いのだが、ショックを怖がる人としては仕方がなかろう。


たとえば、手術を受けるときに、一般的に尿管がある位置に尿管がない人の場合、事前に造影剤検査をしていなければそれはわからない。

その場合、運悪く手術中に尿管を切断される確率は高くなるし、切断されたとしても、訴えることは難しくなる。

検査を拒否して病院側に自分の尿管の正確な位置を知らせないという、

自分に不利益が生じる選択肢を患者自らが選ぶのだから。



ワクチンの副作用が怖いから予防接種を受けずに病気になる危険性を選ぶ人も同じだ。

自己責任で選ぶ。


こちらは周囲に病気が広がるという意味で迷惑なんだけど(笑)。



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