単純腎嚢胞に関する医学的な説明 [有名人の病気に関する解説]
スポンサードリンク
峯岸みなみさんの腎嚢胞のニュースに関する記事から、嚢胞腎についてもう少し詳しく書いておこうかと。
<単純腎嚢胞とはなにか?>
単純腎嚢胞というのは腎臓における形成異常のひとつで、液体で満たされた嚢胞ができる疾患です。
単純腎嚢胞の腎嚢胞は、遺伝性疾患である多発性嚢胞腎(PKD)の嚢胞とは発生過程が異なります。
単純性腎嚢胞ができたとしても、腎臓のサイズが変わるほどのことはあまりありません。
主に腎臓表面にできる水泡のようなものです。
多嚢胞腎の人に認められるような進行性の腎機能低下は通常は引き起こされません。
単純腎嚢胞は、実はかなりたくさんの人の腎臓に発生しています、
例えば、50代以降の人ではおよそ50%の人に単純性腎嚢胞があるとされています。
さらに、40代でも約25%がもっているとされています。
<腎臓というのは何をしている器官なのか?>
腎臓というのはその人のこぶし大の内蔵で、我々は二つずつ持っています。
ちょうどそらまめのような形をしているので、腎臓豆、なんて呼び名の豆もありますよね。
これらのある場所は、ちょうど肋骨の切れ目のあたりの中央付近、背骨の両側にあります。
腎臓に何らかの問題があると腰のあたりの背中に痛みやだるさなどの症状があるので、既に良くご存知の方もいるでしょう。
腎臓は毎日、200リットルもの血液を濾過して綺麗にしています。
老廃物や余分な水を血液から取り除くのが主な役目です。
一日につくる尿の量は、健康な人ではおよそ1リットルから2リットルです。
腎臓で作られた尿は、集合管というところから尿管というくだへと流れて、それが膀胱に流れていって貯まります。
膀胱にある程度の尿が貯まると尿意を感じて排尿することになります。
腎結石などでこの流れがうまくいかないと、腎臓に負担がかかるわけです。
<単純腎嚢胞の原因は?>
単純腎嚢胞の発生原因は十分に理解されていません。
というか、あまり真剣にこれを研究している人はいません。
基本的には命には関わらない症例である場合が多い病気だからです。
基本的には、尿細管の一部で閉塞が起こったりして、それがもとで嚢胞が形成されることがあると考えられています。
尿細管の上皮細胞から様々な液体が分泌されて、それがどこにも行き場なく溜まってしまうのですね。
そのきっかけはいろいろです。
遺伝的な問題もあれば、感染などがキッカケになることもありますし、ちいさな腎結石が原因である場合もありえます。
でも、ともかく、中高年以降では非常にたくさんの人でこれが見つかることから、加齢に伴う変化の一つであるとも考えられ、それであれば特に防ぐ方法は見つけようがないでしょう。
<単純腎嚢胞の症状は?>
基本的には無症状です。
中高年になると半数以上の人にこれが存在することからも、無症状であることがわかりますよね。
しかし、これがどこにできるかで問題が起こりえます。
腎臓へ血液を供給している大きな血管を抑えてしまうような場所にできると、腎臓の機能が落ちたり、血圧コントロールがうまく行かなくなったりします。
尿管をふさいでしまうと腎臓に尿がどんどん貯まる、水腎症の状態になります。
これは腎機能を急速に悪化させて、やがて腎不全に至る可能性があります。
大きくなりすぎた場合にも問題があります。
大きな嚢胞の存在は、腎臓そのものに影響を与えるというよりも、周辺の臓器や神経を圧迫して痛みを引き起こすことがあります。
炎症を起こすこともあります。
また、腎性高血圧と呼ばれる高血圧の原因になることもあります。
高齢者の高血圧の人では腎嚢胞を持っている確率が高くなるという報告があります。
ただし、これはまだ厳密に、腎嚢胞の存在と高血圧との関連性のメカニズムがわかっているわけではありません
<単純腎嚢胞はどのようにして診断される?>
単純腎嚢胞は多くの場合、無症状なので、偶然見つかるケースがほとんどです。
超音波(エコー)での診断
人間ドックとか、妊娠した時についでに見るとか、腎盂炎や腎結石を疑った時などに超音波で腎臓を見て、見つかることがあります。
このときに超音波検査でどの程度の大きさでどこにあるのか、内部にデコボコなどの不正がないかどうかが確認されます。
そして、通常は数ヵ月後に再検査をするように言われます。
CTでの検査
次の検診の時に、前回との差があるようであればさらに精密な検査としてCTやMRIなどを行うことがあります。
その場合は少々ややこしい病気、シンプルに言えばガンなどの悪性腫瘍の可能性を疑っての検査となります。
その際にはかなり高い確率で造影剤を静脈注射してのCT検査になると思います。
これにより、血管と尿路の両方を確認することができますから。
<治療は?>
ほとんどの単純性腎嚢胞は治療の必要がありません。
症状が出るような腎嚢胞の場合のみ、何らかの外科的治療法が行われます。
最初に選択されるのは超音波で見ながら、背中から長い針を刺して嚢胞を穿刺して、内容液を吸引するという治療方法です。
吸引により嚢胞のサイズを縮小することで症状は軽くなります。
多くの場合、吸引後に少量のエタノール溶液を注入して、嚢胞内部の腺上皮細胞を固定してしまう(殺してしまう)という作業を行います。
これをやらないと、小さくなった嚢胞が再び大きくなる可能性があるからです。
背中から刺すのが難しい場合には入院して、腹腔鏡での治療を、それも難しいようであれば開腹して外科的切除ということになります。
流石に外科的切除術の後には創傷治癒の間は炎症反応も強いので結構長いあいだ痛みや高熱と戦う事になるかと思います。
これはしかし、ごく一部のケースです。
と、淡々と説明してみたけど、誰かの役に立ったら嬉しいです。
スポンサードリンク
峯岸みなみさんの腎嚢胞のニュースに関する記事から、嚢胞腎についてもう少し詳しく書いておこうかと。
<単純腎嚢胞とはなにか?>
単純腎嚢胞というのは腎臓における形成異常のひとつで、液体で満たされた嚢胞ができる疾患です。
単純腎嚢胞の腎嚢胞は、遺伝性疾患である多発性嚢胞腎(PKD)の嚢胞とは発生過程が異なります。
単純性腎嚢胞ができたとしても、腎臓のサイズが変わるほどのことはあまりありません。
主に腎臓表面にできる水泡のようなものです。
多嚢胞腎の人に認められるような進行性の腎機能低下は通常は引き起こされません。
単純腎嚢胞は、実はかなりたくさんの人の腎臓に発生しています、
例えば、50代以降の人ではおよそ50%の人に単純性腎嚢胞があるとされています。
さらに、40代でも約25%がもっているとされています。
<腎臓というのは何をしている器官なのか?>
腎臓というのはその人のこぶし大の内蔵で、我々は二つずつ持っています。
ちょうどそらまめのような形をしているので、腎臓豆、なんて呼び名の豆もありますよね。
これらのある場所は、ちょうど肋骨の切れ目のあたりの中央付近、背骨の両側にあります。
腎臓に何らかの問題があると腰のあたりの背中に痛みやだるさなどの症状があるので、既に良くご存知の方もいるでしょう。
腎臓は毎日、200リットルもの血液を濾過して綺麗にしています。
老廃物や余分な水を血液から取り除くのが主な役目です。
一日につくる尿の量は、健康な人ではおよそ1リットルから2リットルです。
腎臓で作られた尿は、集合管というところから尿管というくだへと流れて、それが膀胱に流れていって貯まります。
膀胱にある程度の尿が貯まると尿意を感じて排尿することになります。
腎結石などでこの流れがうまくいかないと、腎臓に負担がかかるわけです。
<単純腎嚢胞の原因は?>
単純腎嚢胞の発生原因は十分に理解されていません。
というか、あまり真剣にこれを研究している人はいません。
基本的には命には関わらない症例である場合が多い病気だからです。
基本的には、尿細管の一部で閉塞が起こったりして、それがもとで嚢胞が形成されることがあると考えられています。
尿細管の上皮細胞から様々な液体が分泌されて、それがどこにも行き場なく溜まってしまうのですね。
そのきっかけはいろいろです。
遺伝的な問題もあれば、感染などがキッカケになることもありますし、ちいさな腎結石が原因である場合もありえます。
でも、ともかく、中高年以降では非常にたくさんの人でこれが見つかることから、加齢に伴う変化の一つであるとも考えられ、それであれば特に防ぐ方法は見つけようがないでしょう。
<単純腎嚢胞の症状は?>
基本的には無症状です。
中高年になると半数以上の人にこれが存在することからも、無症状であることがわかりますよね。
しかし、これがどこにできるかで問題が起こりえます。
腎臓へ血液を供給している大きな血管を抑えてしまうような場所にできると、腎臓の機能が落ちたり、血圧コントロールがうまく行かなくなったりします。
尿管をふさいでしまうと腎臓に尿がどんどん貯まる、水腎症の状態になります。
これは腎機能を急速に悪化させて、やがて腎不全に至る可能性があります。
大きくなりすぎた場合にも問題があります。
大きな嚢胞の存在は、腎臓そのものに影響を与えるというよりも、周辺の臓器や神経を圧迫して痛みを引き起こすことがあります。
炎症を起こすこともあります。
また、腎性高血圧と呼ばれる高血圧の原因になることもあります。
高齢者の高血圧の人では腎嚢胞を持っている確率が高くなるという報告があります。
ただし、これはまだ厳密に、腎嚢胞の存在と高血圧との関連性のメカニズムがわかっているわけではありません
<単純腎嚢胞はどのようにして診断される?>
単純腎嚢胞は多くの場合、無症状なので、偶然見つかるケースがほとんどです。
超音波(エコー)での診断
人間ドックとか、妊娠した時についでに見るとか、腎盂炎や腎結石を疑った時などに超音波で腎臓を見て、見つかることがあります。
このときに超音波検査でどの程度の大きさでどこにあるのか、内部にデコボコなどの不正がないかどうかが確認されます。
そして、通常は数ヵ月後に再検査をするように言われます。
CTでの検査
次の検診の時に、前回との差があるようであればさらに精密な検査としてCTやMRIなどを行うことがあります。
その場合は少々ややこしい病気、シンプルに言えばガンなどの悪性腫瘍の可能性を疑っての検査となります。
その際にはかなり高い確率で造影剤を静脈注射してのCT検査になると思います。
これにより、血管と尿路の両方を確認することができますから。
<治療は?>
ほとんどの単純性腎嚢胞は治療の必要がありません。
症状が出るような腎嚢胞の場合のみ、何らかの外科的治療法が行われます。
最初に選択されるのは超音波で見ながら、背中から長い針を刺して嚢胞を穿刺して、内容液を吸引するという治療方法です。
吸引により嚢胞のサイズを縮小することで症状は軽くなります。
多くの場合、吸引後に少量のエタノール溶液を注入して、嚢胞内部の腺上皮細胞を固定してしまう(殺してしまう)という作業を行います。
これをやらないと、小さくなった嚢胞が再び大きくなる可能性があるからです。
背中から刺すのが難しい場合には入院して、腹腔鏡での治療を、それも難しいようであれば開腹して外科的切除ということになります。
流石に外科的切除術の後には創傷治癒の間は炎症反応も強いので結構長いあいだ痛みや高熱と戦う事になるかと思います。
これはしかし、ごく一部のケースです。
と、淡々と説明してみたけど、誰かの役に立ったら嬉しいです。
スポンサードリンク
コメント 0